先日、仕事の関係で青森県八戸市役所を訪問した。市庁舎の前には、八戸市が誇る景勝地である種差海岸(たねさしかいがん)が三陸復興国立公園に指定された看板が出ていた。
種差海岸は、過去に多くの文学者や芸術家が作品を残している絶景の海岸で、砂地ではなく青い芝生からそのまま海が広がる眺望が素晴らしい。
かつて、草野心平や、宮沢賢治、井伏鱒二などの文学者や東山魁夷などの画家が訪ねてその美しさを讃えている。司馬遼太郎は、「街道を行く」で、種差海岸を「どこか宇宙からの来訪者があったら一番先に案内したい海岸」と表現している。
市役所でのお打ち合せが終わり、役所内の旧交のある方のところにご挨拶に行くと、平成21年の市制80周年記念イメージソングで種差海岸をテーマにした「目をつむれば」が、(国立公園に指定されたことで)新しく設置されたインフォーメーションセンターの「水飲み場」でスピーカーから流れるようになっているということを教えてくださった。
「んっ?水飲み場ってなんだろう!?」
実際に行って観ることを勧められたのでその足で現場に向った。
どうせこんなのかなぁ
行ってみたらまさかこんなことはないよな
と、あれこれ想像しながら到着すると、かなり立派なインフォメーションセンター。
その建物の横に、ありました!水飲み場。すごい!立派。
さすが、音楽や美術が好きな八戸市長がじきじきに制作指示をだされたというだけあって芸術的だ。伝統工芸の細工でできた八戸市の鳥であるウミネコの模型をモチーフに、スピーカが内蔵されていて、確かに僕の歌が….
あれっ、歌が流れていない!わざわざここまで訪ねて来たのに歌が流れてない。インフォーメーションセンターの受付に「音楽はいつ流れるのかっ?」と聞きにいった。
「1時間に1回、時報代わりに流れる」のだそうだ。良くデパートや商店街の入り口等にある、からくり時計のようなやつだ。おお、なかなかしゃれてるじゃないか。
今、16時45分。ならば、15分待って17時00分の演奏を聞いて帰ることにした。
「ひゃっこい水飲み場」というのが正式名称のようだ。大自然の良質な冷たいお水が飲める水飲み場だ。上の方に解説が書いてあるパネルがあったので、読んで見ると何と!
僕の歌と僕の名前が刻まれていたっ!「作詞:井上英昭」。
国立公園に自分の名前が残った!
帰りのタクシーの運転手さん曰く「先月、天皇陛下がこの種差海岸にお越しになり、新しくできたこのインフォーメーションセンターもご覧になられたらしい」とか。まさか、よもや水飲み場ではお水はお飲みになれてはいないだろうが。。そのようなことを万にひとつでも考えるのも畏れ多く、自慢もいい加減にここまでにしておく。
海が大好きな私だが、初めてこの素晴らしい海を見て、感動し、この海を未来永劫、この美しい状態のままでみんなで守らなければならないという思いでこの歌を創った。市制80周年のお祝いの際は、地元放送局のBeFMさんでCDを発売していただき、八戸市で約2,000枚が販売された。印税は全額この種差海岸の清掃費用に寄付したことは言うまでもない(言ってしまってる..)。
実際の映像はこちら。
目をつむれば~種差海岸インフォーメーションセンター
目をつむれば~ひゃっこい水飲み場
小林市長のブログに掲載されました(2014年)
藤川ゆり市議会議員のブログに掲載されました(2009年)
目をつむれば~オリジナルバージョン
目をつむれば~女性ヴォーカルバージョン
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「目をつむれば」
作詞:井上英昭 作曲:宮下浩司 プロデュ-ス:大谷真樹 永田雅規
緑青い芝の向こうに
はるか広がる海は 空の色
吹きぬける浦風 岩瀬に
白銀の波しぶき
牧場の丘の上で
見渡せば 遠くの 水平線
昇る太陽燃える 朝焼け
ハマナスの花のような 赤い光は
さかなたち 目覚めさす 命の色
(*)人の世は変わっても この海は
いつまでもどこまでも 変わらないから
夏が終わり飛び去った うみねこも
春には また 戻ってくる
えんこえんこ舞う 子供達よ
奇跡の恵みを 未来に
夜空に 何を願う
幾千の星 月の光浴び
黄金色の凪は きらめく
時の流れは静かに 止まったままで
波だけが 打ち寄せて 打ち返す
(*)繰り返し
鳴き砂の白浜を 歩きながら
口ずさむうたは 波間に 消えてく
遠くの あなたの 幸せ願う
帰ってくる日 風のこえ
(*)繰り返し
この美しい海を いつの日までも
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宇宙からの来訪者を連れて行きたい水飲み場
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